社労士とは?仕事内容と役割をわかりやすく解説
社労士(社会保険労務士)とは、労働・社会保険に関する法律の専門家であり、企業の人事労務管理をサポートする国家資格者です。2026年現在、働き方改革や社会保険制度の複雑化により、社労士の需要は年々高まっています。社労士には3つの独占業務があり、企業と従業員の双方にとって欠かせない存在となっています。この記事では社労士の仕事内容、役割、他資格との違いを解説します。
社労士(社会保険労務士)とは何か?
社労士とは、社会保険労務士法に基づく国家資格を持つ専門家のことです。正式名称は「社会保険労務士」で、略称として「社労士」や「SR」と呼ばれています。
社労士の最大の特徴は、労働基準法や健康保険法、厚生年金保険法など、約50の法律に精通している点です。これらの法律は毎年のように改正されるため、常に最新の知識が求められます。
厚生労働省の統計によると、2025年時点で社会保険労務士の登録者数は約4万5千人に達しています。弁護士が約4万5千人、税理士が約8万人であることと比較すると、まだ人数が少ない分野といえるでしょう。
社労士は企業の「ヒト」に関する課題を解決する専門家です。経営資源の「ヒト・モノ・カネ」のうち、「モノ」は弁理士、「カネ」は税理士や公認会計士が担当しますが、「ヒト」の領域を専門的にカバーできるのは社労士だけです。
では、社労士が具体的にどのような業務を行っているのか見ていきましょう。
[IMG_ALT: 社労士の仕事内容と3つの独占業務の概要図]
社労士の3つの独占業務(1号・2号・3号業務)
社労士には法律で定められた3つの独占業務があります。独占業務とは、資格を持つ者だけが行える業務のことです。要約すると、書類作成・手続き代行・帳簿作成の3つに分類されます。
1号業務(書類作成・提出代行) は、労働保険や社会保険に関する申請書類の作成と、行政機関への提出を代行する業務です。たとえば、従業員が入社したときの健康保険・厚生年金の資格取得届や、労災が発生した際の給付請求書の作成が該当します。実際の現場では、中小企業の経営者がこれらの手続きに多大な時間を取られているケースが多く、社労士に依頼することで年間数十時間の業務削減につながるとされています。
2号業務(帳簿書類の作成) は、労働者名簿や賃金台帳、就業規則など、法律で作成が義務付けられている帳簿書類を作成する業務です。特に就業規則は常時10人以上の従業員を雇用する事業所に作成義務があり、労働トラブルを未然に防ぐための重要な書類となっています。
3号業務(コンサルティング) は、人事労務に関する相談・指導を行う業務です。近年では労務コンプライアンスの強化や、ハラスメント防止対策のニーズが急増しており、3号業務の重要性が特に高まっています。
ここまで理解したところで、次はなぜ今の時代に社労士が求められているのかを解説します。
なぜ今、社労士が求められているのか?
結論として、社労士の需要が高まっている背景には、労働法制の複雑化と企業のコンプライアンス意識の向上があります。
2019年の働き方改革関連法の施行以降、企業に求められる労務管理のレベルは格段に上がりました。時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、有給休暇の取得義務化など、対応すべき法改正が相次いでいます。2024年には建設業や運送業にも時間外労働の上限規制が適用され、いわゆる「2024年問題」として大きな話題になりました。
さらに、パワーハラスメント防止法の中小企業への適用(2022年4月〜)や、育児・介護休業法の改正(2025年4月〜)など、企業が対応すべき法改正は増加の一途をたどっています。
社会保険の観点から言えば、社会保険の適用拡大も重要な要因です。2024年10月からは従業員51人以上の企業にも社会保険の適用が拡大され、新たに約20万人が加入対象となりました。このような制度変更への対応を自社だけで行うのは難しく、専門家である社労士へのニーズが一層高まっています。
では次に、混同されやすい他の士業との違いを確認しましょう。
社労士と他の資格(行政書士・税理士)との違い
社労士と混同されやすい資格として、行政書士と税理士があります。ポイントは3つ、専門分野・独占業務・顧客層が異なる点です。
社労士は「ヒト(人事労務・社会保険)」の専門家です。一方、行政書士は「許認可申請(建設業許可、飲食店営業許可など)」を主な業務とし、税理士は「カネ(税務申告・会計)」を専門としています。
実務の観点から見ると、企業が顧問契約を結ぶ際、税務は税理士に、人事労務は社労士に依頼するのが一般的です。特に従業員を雇用している企業にとっては、社労士との顧問契約は労務リスクの軽減に直結します。
注意点として、社労士の業務範囲は行政書士や税理士と一部重複する領域があります。たとえば、給与計算は社労士も税理士も行うことがありますが、社会保険料の計算や労務に関する相談は社労士の専門領域です。
ダブルライセンスとして社労士と行政書士、あるいは社労士と税理士の両方を取得する方も増えています。資格取得を検討している方は、まず自身のキャリアプランに合った資格を選ぶことが重要です。
社労士の働き方:開業と勤務の2つの道
社労士として働く方法は、大きく分けて「開業社労士」と「勤務社労士」の2つがあります。
開業社労士は、自ら事務所を構えて顧客企業に対してサービスを提供する働き方です。全国社会保険労務士会連合会のデータによると、登録社労士の約6割が開業登録をしています。開業社労士の収入は顧客数や提供サービスによって大きく変動しますが、顧問先を30社以上持つ事務所であれば年収1,000万円を超えることも珍しくありません。
勤務社労士は、企業の人事部門や社労士事務所で雇用されて働く形態です。安定した収入が得られる一方で、開業社労士ほどの高収入は期待しにくい傾向にあります。ただし、企業内で人事労務の専門家としてキャリアアップできるメリットがあります。
実際に開業した社労士の声として、「最初の1〜2年は収入が安定しなかったが、3年目以降は紹介で顧客が増え、安定した経営ができるようになった」というケースが多く聞かれます。
どちらの働き方を選ぶにしても、まずは社労士試験に合格する必要があります。
社労士試験の概要と受験資格
社労士試験は、毎年8月の第4日曜日に実施される国家試験です。重要なのは、受験するには一定の受験資格が必要という点です。
受験資格は主に3つのルートがあります。「学歴(大学・短大・高専の卒業者)」「実務経験(労働社会保険に関する実務3年以上)」「他資格(行政書士合格者など)」のいずれかを満たす必要があります。
試験科目は全10科目で、午前の「選択式試験(8科目×5点=40点満点)」と午後の「択一式試験(7科目×10問=70点満点)」に分かれています。合格基準には各科目に足切り(基準点)が設けられており、1科目でも基準点を下回ると不合格になる厳しい制度です。
合格率は例年5〜7%で推移しており、難関資格に分類されます。ただし、計画的に学習すれば独学でも合格は可能です。効率的に合格を目指す方には通信講座の活用も有効な選択肢となります。
[IMG_ALT: 社労士試験の概要と科目構成の一覧表]
まとめ
社労士とは、労働・社会保険の法律に精通した国家資格者であり、企業の人事労務管理を支える専門家です。3つの独占業務(書類作成・帳簿作成・コンサルティング)を持ち、働き方改革や法改正が続く2026年現在、その需要は一層高まっています。資格取得に興味がある方は、まず試験の全体像を把握し、自分に合った学習方法を検討してみてください。
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